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麻生祐司教授らのグループが、微生物を利用して環境調和型高分子材料となるバイオベースポリマーを一気通貫生産する技術を開発しました。

2025.03.19

麻生祐司教授らのグループは、微生物を利用して環境調和型高分子材料となるバイオベースポリマー(用語1)を一気通貫生産する技術を開発しました(図1)。フラスコを用いて好気下で糸状菌Aspergillus terreusを培養してグルコースからイタコン酸(用語2)(図2)を発酵生産しました。その途中で培養液に有機溶媒を添加してイタコン酸を有機溶媒層に抽出しました。発酵生産後、フラスコを密栓することでA. terreusの呼吸により培養系内の酸素を除去しました。そして、有機溶媒層に重合開始剤を添加してイタコン酸を重合させてポリイタコン酸を合成しました。本研究は、培養液からポリマー原料(モノマー)を単離することなく同一培養系内で重合させた初めての報告であり、バイオマスプラスチック(用語3)生産の簡便化に寄与することが期待されます。

図1 本研究の概要


図2 イタコン酸

本研究成果は、2025年3月11日付けで学術誌「Bioprocess and Biosystems Engineering (Springer Nature)」(外部リンク)に掲載されました。

<用語解説>
1. バイオベースポリマー
植物や動物などの生物由来の再生可能資源であるバイオマスから作られるポリマーのこと。

2. イタコン酸
プラスチックのほか、接着剤や塗料など種々の化学製品の原料として利用される化合物。ビニリデン基を有しラジカル重合により重合できるためビニリデンモノマーに分類できる。A. terreusを用いて工業的に発酵生産されており、バイオマスから得られる再生可能な工業原料として注目されている。今後、世界的な需要拡大が見込まれている。

3. バイオマスプラスチック
バイオマスから作られるプラスチックのこと。

プレスリリース(京都工芸繊維大学HP)
本件の詳細(PDF)

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